顧問弁護士の顧問料費用相場|知っておきたい顧問契約の料金

顧問契約費用相場

相場がよくわからない、企業が支払う弁護士費用。インターネットやSNSの普及などによるビジネスの複雑化、さらには残業代を巡るトラブルをはじめとする労働事件の急増などにより、最近では弁護士との顧問契約に興味を持つ中小企業の経営者は増えています。

顧問弁護士と顧問契約を結ぶためにはどんな費用が必要?

相場がよくわからない、企業が支払う弁護士費用

インターネットやSNSの普及などによるビジネスの複雑化、さらには残業代を巡るトラブルをはじめとする労働事件の急増などにより、最近では顧問弁護士との顧問契約に興味を持つ中小企業の経営者は増えています。

しかし、「顧問契約にかかる顧問料の相場は?」「そもそも顧問料でどのくらいの範囲の仕事をしてもらえるの?」などなど、その契約形態や費用面についてはわからないことだらけ。そこで、ここでは弁護士と顧問契約を締結するために必要な費用や、顧問弁護士に支払う顧問料の相場、どのようなコストメリットがあるのかなどをご紹介します。

中小企業を対象とした弁護士の顧問料相場はどれくらい?

顧問料の多くは3万円から5万円、なかには1万円という設定も

一般的に、企業が弁護士と顧問契約を結ぶ場合、月額の顧問料を支払うことになります。少し古いデータになりますが、2009年に日本弁護士連合会(日弁連)が全国の弁護士に行ったアンケート調査によると、中小企業を対象とした顧問料の平均額は約4万円。最も多いパーセンテージを占めたのが5万円で45.7%、次いで3万円が40%という結果になっています。

この調査で顧問料を5万円に設定する弁護士が多くなっているのは、過去に日弁連が弁護士報酬の基準となる規定を定めていたから。とはいえ、そうした報酬規定は平成16年に廃止され、現在は弁護士が自由に報酬を決めることができます。そのため、最近では顧問料の相場は3万円程度となっており、なかには1万円程度に設定する弁護士や法律事務所も見られます。

顧問弁護士は月額顧問料の範囲内でどれだけの仕事をしてくれるの?

数時間の法律相談や簡単なアドバイスは顧問料の範囲内

では、顧問弁護士に月額の顧問料を払うと、その範囲内でどの程度の仕事をしてもらえるのでしょうか? こちらも2009年に日弁連が実施したアンケート調査の結果を見ると、「月3時間程度の相談については月額顧問料の範囲とする」という答えが59.9%、「調査を要せずすぐに回答できるものまでを範囲とする」という答えが34.5%となっています。

月額顧問料の目安

対して、「個々の相談等については別途弁護士費用を請求する」と答えた弁護士は0名。この調査結果を見ると、月に1回程度の簡単な法律相談であれば、ほとんどの弁護士が顧問料の範囲内で対応していることがわかります。とはいえ、顧問料の額と同様に、どの程度の業務までを顧問料に含むかは、各弁護士や法律事務所によって異なります。

どこまで対応してくれるかは弁護士次第、事前確認が重要!

たとえば、月々の顧問料は安く設定されているかわりに、何か相談をすればすぐに別途費用が発生するケースもあれば、顧問料に相当額の弁護士費用が含まれているケースもあります。なかには、日々の法律相談に加え、契約書の作成やチェックなども顧問料の範囲で対応してくれる弁護士もいますから、顧問料の安さだけで顧問弁護士を選ぶべきではありません。

顧問弁護士と顧問契約を結ぶにあたっては、月々の顧問料にどこまでの業務が含まれるかをきちんと確認しておくことが大切です。そのうえで、たとえば契約書の作成や法的トラブル時の対応など、顧問料の範囲内となる業務の扱いについてもあらかじめ説明を受け、納得した後に顧問契約書を交わしましょう。

事件処理や各種手続きにかかる顧問弁護士費用の優遇も

顧問弁護士の出番が増えるほどコストメリットは大きくなります

顧問契約を結ぶ企業の法律相談や法的トラブルに、顧問弁護士は優先的に対応してくれます。もちろんそうした安心感も、弁護士と顧問契約を締結して月々の顧問料を支払うメリットになります。また、顧問料の範囲を超える案件については、着手金や報酬金などが別途必要になりますが、顧問弁護士ならそうした弁護士費用を割引してくれるケースが一般的です。

企業が弁護士と顧問契約を結ぶことには、ビジネス的にもさまざまなメリットが考えられます。特に、何か疑問があればすぐに相談したいという中小企業の経営者などにとっては、顧問契約を結ぶ方がコスト的にもメリットが得られるはず。そんなコストメリットをより大きくしてくれるのが、こうした案件に応じた弁護士費用の優遇なのです。

顧問弁護士は弁護士費用をどのくらい優遇してくれる?

サービスの割合はそれぞれ。具体的なケースとは?

とはいえ、「顧問契約を結ぶとどれくらい顧問弁護士費用が優遇されるか」についても、決まりがあるわけではありません。そこでここからは、企業から弁護士への依頼が多いそれぞれの案件について、顧問契約がある場合とない場合で、どのくらい弁護士費用に差があるのかを見ていきましょう。

<ケース①〜契約書の作成を弁護士に依頼した場合>

まず、中小企業が弁護士に「取引額3000万円の契約書作成」を依頼したケースについて、2009年の日弁連によるアンケート調査では、顧問契約がない場合の弁護士費用は10万円前後が最多で43.8%。対して、顧問契約がある場合の弁護士の費用は、5万円前後が約半数という結果になっています。

契約書の作成(年間取引額3000万円の契約書の作成の手数料)

製造メーカーである中小企業が卸売業者との商品の継続的取引のための基本売買契約書を作成する。年間の取引予想額は3000万円程度。代金支払に手形決算の予定あり。物的担保はないが、卸売業者の代表者が連帯保証人になる予定。契約書の作成に2〜3時間が予想される。この場合の手数料はいくらか。(回答数=304)

顧問契約がない場合
5万円前後 (25.0%)
10万円前後 (43.8%)
15万円前後 (10.9%)
20万円前後 (8.9%)
30万円前後 (5.9%)
その他 (3.9%)
顧問契約がある場合
5万円前後 (49.0%)
10万円前後 (21.4%)
15万円前後 (2.3%)
20万円前後 (3.9%)
30万円前後 (0%)
その他 (7.2%)
0円 (11.2%)

上の調査結果を詳しく見てみると、顧問契約がある場合は「0円」と回答している弁護士も。つまり、この調査で回答した弁護士の11.2%は、こうした契約書の作成であれば顧問料の範囲内で対応していることがわかります。

<ケース②〜売掛金の回収を弁護士に依頼した場合」

次に、中小企業が商品の販売先への「2000万円の未払い代金の回収」を弁護士に依頼したケースを見ていきましょう。日弁連による同様のアンケート調査では、顧問契約のない弁護士の着手金は50万円前後から100万円前後が多く、報酬金は200万円前後が6割近くになっています。対して、顧問契約がある顧問弁護士の場合、着手金は50万円前後が半数以上、報酬金も100万円前後から150万円前後に集中しています。

売掛金の回収(2000万円の売掛金の回収)

製造メーカーである中小企業が販売先に商品を納入したところ、販売先が商品の品質にクレームをつけて代金2000万円を支払わないが、品質に問題はないので、回収したい。訴訟を提起し、その結果、勝訴して全額を回収できた。この場合の着手金および報酬金はいくらか。(回答数=304)

顧問契約がない場合
①着手金
50万円前後 (30.9%)
70万円前後 (19.1%)
100万円前後 (44.4%)
120万円前後 (1.0%)
150万円前後 (1.3%)
その他 (1.6%)
②報酬金
100万円前後 (17.4%)
150万円前後 (17.1%)
200万円前後 (58.2%)
250万円前後 (3.6%)
300万円前後 (0.7%)
その他 (1.3%)
顧問契約がある場合
①着手金
50万円前後 (53.3%)
70万円前後 (20.7%)
100万円前後 (12.2%)
120万円前後 (0.3%)
150万円前後 (0%)
その他 (10.2%)
②報酬金
100万円前後 (35.2%)
150万円前後 (29.6%)
200万円前後 (26.0%)
250万円前後 (1.0%)
300万円前後 (0%)
その他 (5.3%)

着手金や報酬金は、案件の複雑さや裁判などの手続きにかかる弁護士の労力によっても変わってきますが、この調査結果を見ると、顧問弁護士なら相応に費用をサービスしてくれることがわかります。また、このケースでの着手金と報酬金を合わせた弁護士費用の平均額は、顧問契約なしの場合で254万7423円、対して顧問契約のある顧問弁護士では207万6800円と大きな差が出ている点も注目です。

弁護士と顧問契約を結ぶために必要な費用は?

自社の業界に強い弁護士を選任できればベスト

他にも、労働事件や知的財産などを巡るライバル企業との紛争、銀行などの金融機関との融資交渉や民事再生手続きをはじめ、顧問弁護士なら通常よりも安い金額であらゆる案件に対応してくれます。

企業が弁護士と顧問契約を結ぶにあたっては、弁護士の能力や人格をきちんと理解して、自分の会社に見合う顧問弁護士を選ぶ事が大切です。そのうえで、月々にかかる顧問料や、その金額で対応してもらえる範囲、さらには案件に応じた費用面の優遇などについても事前に確認し、会社にとってよりメリットのある顧問契約を目指してください!

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