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岩手県の弁護士事情

東北新幹線の開通によって経済が大きく発展した岩手県の弁護士事情について調査すると、平成13年の時点で岩手弁護士会に所属している弁護士は41名と少ない数でしたが、10年後の平成23年には81名まで倍増していました(法曹人口に関する基礎的資料参照)。岩手弁護士会は、地域に根差した弁護士会として、県民の生活に寄り添う弁護士活動を推進しています。東日本大震災の被害から復興していけるよう、被災者を法律的な側面で支援するため行政機関等にも積極的な働きかけを行っています。また、「子どもの権利委員会」「犯罪被害者救済センター委員会」「災害対策委員会」等、多くの委員会活動を通じて、地域の方々が安心して暮らせる環境づくりに尽力しています。

岩手県の現況

平成22年10月の国勢調査によると、岩手県の人口は1,330,147人でした。平成17年には1,385,041人だったため5年間で4.0%減となります。全国的に人口は減少していますが、岩手県の減少率は平均を上回り、人口減少が深刻な問題と化しています。総人口における65歳以上の高齢者の割合は27.2%で、こちらも全国平均を超えています。15歳以上の就業者数は631,303人で、そのうち393,167人が、運輸・通信・商業・金融・公務・サービス業などの第3次産業に就業しています。県内総生産は4.10兆円(平成25年度)で、都道府県別では第33位に位置しています。

全国でもっとも弁護士過疎の状態にあります

平成23年の「弁護士白書」によると、岩手県の弁護士1人当たりの人口比率は16,422人となっています。弁護士過疎、偏在の解消状況を調査したデータによると、都道府県別ではもっとも人口に対して弁護士が少ない県であると示されており、深刻な弁護士不足です。一方、平成13年から平成23年までの増加率は197.6%と非常に高い数値で、平成23年から現在までを見ても県内で開業する弁護士数は増え続けており、今後より充実した環境になることが期待されています。

岩手県の経済動向

岩手県の経済動向ですが、県内金融機関が平成28年2月に発表した経済概観によると、県内経済は、生産面に新興国経済の減速に伴う影響がみられるが、緩やかな回復を続けていると報告されています。 個人消費においては、一部に弱めの動きがみられるものの底堅く推移していると判断されています。設備投資は増加しており、公共投資、住宅投資においても高水準で推移しています。一方、生産は弱含んでいる状況で、製造業の回復に遅れがみられるようです。また、雇用・所得環境に関しては改善していると判断されており、労働者にとっては良い方向に進んでいます。

岩手県の企業状況

岩手県の会社数・事業所数は、平成26年度7月時点で63,093事業所となっており、全国の総事業所数5,926,804の約1.1%を占めています。エリアとしては、盛岡市に一局集中している状況ですが、一関市、花巻市などにも多く集まっているようです。内容を産業の大分類別で調べると、製造業、卸・小売業が中心となっていますが、農業・漁業などの第一次産業に属する事業所の数も比較的多めです。

平成24年の時点では59,537事業所であったため、上昇傾向にあるようです。東日本大震災の影響で一時的に弱まっていた企業活動が復活して来たことが要因の一つとして考えられます。平成24年から26年の間に新設された事業所数は10,087と全国平均レベルですが、従業者数は+5.2%と大幅に増している状況です。県内経済の回復スピードは緩やかですが、雇用環境は持ち直しつつあると判断できます。

岩手県の労働者状況

企業が弁護士を必要とする主な事情は、企業間で交わす契約書の精査等の理由のほか、労使間トラブルへの備え、顧客クレームへの対応などがあります。次は労働者側から見た岩手県の労働状況を調査したデータです。

失業率は低いものの非正規雇用の割合が増しています

県内経済が緩やかながら回復傾向にある岩手県ですが、総務省が雇用形態を調査したデータによると、非正規雇用者の割合は平成24年の時点で37.6%と全国平均レベルです。5年前の平成19年には非正規雇用者の割合は33.5%であったため、非正規雇用の割合は増加傾向にあると判断できます。雇用環境が持ち直しつつある岩手県ですが、非正規雇用者の割合が増えていることは不安要素として捉えられます。

岩手県の平成28年1月の有効求人倍率は1.23倍となっており、全国平均の1.28倍を下回っています。しかしながら平成22年には0.46倍と大きく売り手市場の数値であったため、企業にとっては改善傾向です。平成25年に1.0倍を超えてからは常に買い手市場の倍率を維持している状況です。平成25年度の完全失業率は3.3%と比較的低い数値で、全国平均を下回っています。

岩手県民の個人所得は全国第44位です

失業者は少ないが非正規雇用者が増えつつある岩手県の県民所得は、平成22年のデータをみると、個人の年間所得平均は223.47万円で、都道府県別では第44位とかなり低い水準です。全国第1位の東京都とは約200万円と大きな差があり、東北地方では第1位となる新潟県との差も約40万円あります。

岩手県の長時間労働は深刻化しています

総務省の都道府県別有効求人倍率と常用労働者1人あたりの平均月間総実労働時間数で近年の推移を見てみると、平均月間総実労働時間数は、平成22年度には156.4時間となっていましたが、平成24年度には160.3時間、平成25年度の時点でも159.0時間と慢性的な長時間労働の状態にあります。全国平均は149.3時間であるため岩手県民の実労働時間は平均より約10時間も長いことになります。所定外労働においては、全国平均が12.4時間のところ岩手県は12.2時間とほぼ等しい数値ですが、平成22年度から徐々に延びている状況です。農業などに従事する労働者の割合が多いため、自ずと労働時間が長くなる傾向がありますが、それを考慮しても岩手県の長時間労働問題は深刻であると判断できます。

岩手県の労働者は環境改善のため積極的に行動しています

長時間労働の問題が深刻化しており、非正規雇用者の割合も高まっている岩手県では、件数は少ないもののストライキなど行為をともなう労働争議が起こっており、労使間のトラブルは増加しています。

労働相談の件数は過去最多を更新しています

厚生労働省の発表によると、平成26年度の全国の総合労働相談は1,033,047件で、7年連続で100万件を超えています。岩手県の総合労働相談件数は10,144件で、そのうち民事上の個別労働紛争相談(労働者と事業主との間の労働に関するトラブル)は2,791件となっており、いずれも過去最多を更新しています。また、労働局による助言・指導を求める相談の件数は127件あり、内容については、パワハラを含む「いじめ・嫌がらせ」に関する相談が増して来ています。さらに、県が設置する「労働相談なんでもダイヤル」での受付件数も前年比+7%という状況です。

「解雇」に関わるあっせんの事例

申出人は、仕事中の事故で怪我をしたため10か月間休業を余儀なくされたが、労災保険給付期間終了後に職場への復帰を申し出たところ突然解雇された。会社から治療・リハビリ期間は休業扱いとすると約束されていたため不服に思い、金銭的補償として慰謝料を求め、あっせんを申請した。あっせん員が双方の主張を聞き調整したところ、申出人には現在復職の意思はなく、会社側から退職に伴う補償を行うとの意向が示されたため、補償金額についての調整をはかり、双方合意によって解決に至った。

ストライキを含む労働争議が発生しています

厚生労働省が発表した「都道府県、労働争議の種類別件数、参加人員及び労働損失日数」データによると、岩手県では総争議件数は10件と全国平均以下の件数ですが、そのうち半数の5件は争議行為を伴うものです。労働損失日数は7日と少ないのですが、半日未満の同盟罷業に関しても4件確認されており、参加人員は651人です。これらのデータから、岩手県では企業の経済活動を脅かす争議が発生しているため、大きなリスクを抱えていると考えられます。

企業は、民事上の個別労働紛争や、ストライキなどの労働争議を回避するべく早期段階で適切な対策を取らなければいけませんが、もし、紛争・争議となった場合には、労働者側の観点で労働問題をサポートできる弁護士も増加しているため、企業としても法令を遵守し、顧問弁護士と相談しながら労働問題に当たらなければいけないでしょう。

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