契約書作成においての注意点
当事者をはっきり記載しよう
契約は相手がいて成り立つものです。契約書で大切なことの一つに、契約する当事者は誰なのかをきちんと明記することがあります。同じ人でも、その人が経営する「会社」なのか、あるいは「個人」なのかによって、契約で結ぶ内容は変わってきます。
契約では第三者が当事者となるケースも
もちろん、第三者などの他社が登場する契約では、その第三者が誰なのかも記す必要があります。そうした第三者が関わるケースの一つに「再委託」があります。
再委託とは、たとえば、A社がB社に業務を発注した際、B社がC社を使ってその業務を進めるといったケースのこと。一般的な請負契約では、民法上の原則として、受託者(仕事を請け負った側)による再委託が認められています。
とはいえ、A社の立場からすると、せっかく契約を結んでも第三者(ここではC社)へ再委託をされては、契約内容が守られるかどうか分かりません。再委託をしてほしくない場合は、第三者へ再委託はできないこと、あるいは一部なら再委託しても良い旨を具体的に契約書に盛り込んでおきましょう。その際、委託する第三者が負うべき義務についても触れておくことが必要です。
誰が読んでも矛盾がない表現に留意しよう
接続詞には特に注意が必要
契約書は、当事者はもちろん、誰が読んでも内容に矛盾がないように作成しなければなりません。とはいうものの、契約書を含めて法律関係の書類は、語句のなかでも特に、接続詞について独特の使い方がされることがよくあります。慣れないうちは少し分かりにくいものですが、契約を正しく理解するためにも、以下のような接続詞の使い方についてはきちんと理解しておきましょう。
「及び」と「並びに」
これらは、「A及びB」、「C並びにD」など、並列する2つ以上の語句を結び付ける接続詞です。3つ以上の語句を結び付ける場合は、「A、B、C及びD」と、最後の語句の一つ前までを点で区切り、最後の語句を「及び」でつなげます。また、これらを使ってグループをつなぎ、「A及びB、並びにC及びD」のようにも使います。基本的には、小さなグループは「及び」でつなぎ、大きなグループは「並び」でつなぎます。
「又は」と「若しくは」
こちらは語句を選択する時に使われる接続詞です。「A、B、C又はD」のように、最後の語句の一つ前で「又は」を使ってつなぎます。意味はどれか一つを選ぶものです。グループの大小があれば、「A又はB、若しくはC又はD」のように使います。
取引基本契約書と個別の契約書
2種類の契約書でスムーズな取引を
ビジネスの現場、たとえば商取引の現場では、商品の仕入れ、販売、配送などについて何度も取引が行われ、それが長期間におよぶ場合もあります。こうした現場では、まず、相手先企業との信頼関係が大切になります。
取引を円滑にするためにも、代金の支払い方法や損害が発生した時の対処法などについて、お互いに基本的な条件等を決めておくことも必要となるでしょう。
このように継続的、かつ繰り返して取引が行われる場合に、共通した条件やルールを決めておくのが取引基本契約書です。これは、契約が長期間におよぶ場合以外に、ソフトウェア開発等の複雑な取引や、取引金額が大きくなる場合にも使われます。
基本契約書は契約の簡素化にも有効
そうした取引基本契約書に対して、個々の取引にあたっては、その都度、個別の契約書により、具体的な商品の内容、数量、金額、納期、支払期限など個別の取引条件等を決めて約束していきます。
取引基本契約書と個別の契約書はセットで使われることが多く、基本的に内容は矛盾しません。もし契約内容について異なるものになる場合は、どちらを優先するかという優先順位も決めておいたほうがいいでしょう。もっとも、基本契約書の内容で個別の契約もカバーできるような場合であれば、注文書と受注書のみが交わされるケースもよくあります。
適正な取引を継続するために
基本契約書の作成やチェックはプロに任せよう
取引基本契約書とは、その名称の通り、企業が行う取引の基本となるもの。特に継続した取引の場合は、きちんとポイントを押さえた実効力のある基本契約書をつくっておけば、取引自体に大きな変更がない限り、後の個別の契約については簡素化することができます。
また、取引基本契約書を作成することは、自社と取引先の関係や仕事の流れ、これまで曖昧にしていた部分を整理することにもつながります。「まだ基本契約書を作成していない」、あるいは「以前に作成したものの不安がある」という経営者の方は、ぜひ専門家である弁護士などのアドバイスを受けて、自社の基本契約書について見直してみてください。
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