簡易裁判所で行える手続きは?
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簡易裁判所ってどんなところ?
生活に密着した問題の解決を図る場
さまざまな手段を講じても債権を回収できない場合は、裁判所を利用することになります。「裁判」といっても、実はさまざまな手段があります。ここでは、簡易裁判所でできる手続きについてご紹介します。
簡易裁判所は、日常生活で起こるさまざまな揉め事を扱う最も身近な裁判所です。債権回収のほか、敷金返還、交通事故の損害賠償、クレジット・ローン問題など、生活に密着した問題を迅速かつ簡易に解決するため、全国各地に438か所も設置されています。
手続きに関する相談にも乗ってもらえる
身近な問題を取り扱うがゆえ、裁判所を初めて訪れる人でも、気軽に利用できるよう配慮されています。穴埋めで完成できる「定形訴状」、「定形調停申立書」が用意されており、手続きに関する相談にも乗ってくれます。
主な手続きは「支払督促」「少額訴訟」「民事調停」「民事訴訟」の4つ
簡易裁判所で行われる手続きには、主に以下の4つがあります。
支払督促 | 裁判所書記官が債務を支払うよう命じることで解決を図る |
---|---|
少額訴訟 | 裁判官の判決で解決を図る 民事訴訟より迅速に解決できるのがメリット |
民事調停 | 話し合いによって円満な解決を図る |
民事訴訟 | 裁判官の判決で解決を図る |
債権回収の場合、上記4つのうちどの手続きも可能です。それぞれのメリットとデメリットを知り、自分にとってベストな方法を取りましょう。
「支払督促」とは?
書類審査のみの、一番迅速な手段
「支払督促」は、債権者の申し立てに基づき、裁判所書記官が債務を支払うよう命じるものです。請求金額の上限は設けられていないので、金額に関係なく利用できます。手数料は、請求額が10万円までなら500円、100万円までなら5000円と、民事調停の申し立てと同じく安価。簡単な書類審査のみで迅速に行われ、確定すると判決と同様の効力を持ちます。
ただし、相手がその支払督促に対して「異議がある」と回答した時点で、通常の民事訴訟に移行することになります。何度も話し合いをしても支払わなかった相手が、支払督促のみで支払ってくれる可能性は薄いかもしれません。
支払督促のメリット
・簡単で迅速に手続きができる。
支払督促のデメリット
・相手も簡単に異議を申立てることができ、異議が申立てられると通常の民事訴訟に移行する。
「少額訴訟」とは?
60万円以下のトラブルを迅速に解決
民事訴訟のうち、60万円以下の支払を求める場合には、「少額訴訟」が利用できます。審理は1回のみで、すぐに判決が言い渡されるのが特徴です。そのため、その場で取り調べられる証拠しか持ち込めません。契約書など証拠書類や証人をすぐに用意できる場合には、こちらの利用を検討してみるのがよいでしょう。ただし、利用回数に制限があり、年間に10回までとなっています。
また、小額訴訟は一審限りで上訴することもできません。不服がある場合には簡易裁判所に異議を申し立て、異議が認められた場合には、通常の民事訴訟へと移行することになります。少額訴訟の手数料は、後で紹介する通常の民事訴訟と同じです。
少額訴訟のメリット
・審理が1回のみでスピーディーに解決できる。
少額訴訟のデメリット
・証拠は審理の日に調べられるものに限られるので、複雑な案件には向かない。
「民事調停」とは?
話し合いによって円満な解決を図る
お互いに話し合う気持ちはあるものの、なかなか話がまとまらない。そんな時は「民事調停」を利用しましょう。調停員が仲介し、お互いに納得が行くまで話し合うことができます。そして、この場での決定事項を記した「調停調書」は、確定した判決と同じ効力を持ちます。また、訴訟とは違い非公開で行われますので、他人に知られたくない場合にも民事調停が有力な手段となります。
民事調停を行うには、簡易裁判所に「調停申立書」を提出しなければなりません。この申立書は、裁判所の窓口に置いてある記入例を見ながら、簡単に記入できるもの。調停終了までの手続きも難しいものではありません。手数料についても、請求額が10万円までなら500円、100万円までなら5000円と、民事訴訟の半額となっています。
民事調停のメリット
・お互いに納得できる円満な解決が図れる。
・非公開のため、秘密を守れる。
・訴訟よりも早く解決できる。(調停で解決した事案の80%以上は3か月以内に解決しています)
民事調停のデメリット
・相手に話し合う姿勢がある時にしか利用できない。
「民事訴訟」とは?
判決によって解決を図る
相手の態度が頑なで全く話し合うことができない。そんな時には「民事訴訟」を起こすしかありません。裁判官が双方の言い分を聞き、証拠を調べた後、判決を出すことによって、問題の解決を目指します。
簡易裁判所では、請求金額が140万円以下の事案のみを取り扱い、基本的には、相手の住所を管轄する裁判所で起こします。本人訴訟も可能ですが、企業間のトラブルに強い弁護士に依頼する方が、納得の行く判決を望むことができます。また、民事訴訟の手数料は請求金額によって異なり、請求金額が10万円の場合は1000円、30万円の場合は3000円、100万円の場合は10000円となっています。
民事訴訟のメリット
・話し合う余地のない相手とでも問題の解決を図ることができる。
民事訴訟のデメリット
・解決までに時間が掛かり、費用が嵩んでしまう。
訴訟は弁護士なしでも起こせる。でも…
裁判は債権回収の最終手段
あらゆる手を尽くしたにも関わらず、取引先が代金を支払ってくれない。そんな時の最終手段が裁判です。簡易裁判所での手続きといっても、やはり法的な知識は必要となります。最終的にどのような方法を取るにせよ、まずは弁護士に相談してアドバイスを受けたうえで、最適な手段を選ぶことをおすすめします。
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