会社の解散・清算とはどういうこと?

解散

会社の業務を中止、法人格を消滅させるのが解散手続き

解散はどんなときに行うもの?

会社の解散・清算とは、会社が行っている業務をすべて中止し、会社の法人格を消滅させる手続きです。会社は事業を発展・拡大するだけでなく、業績が悪化したり、利益が出ないため存続のメリットがなくなった場合など、廃業・解散を考える必要があります。

業績の悪化が続くと自社だけでなく取引先企業にも大きな迷惑がかかるので、早めに会社を畳んでしまうのも一つの手なのです。

清算手続きが完了すれば会社はいよいよ消滅へ

会社が解散することは、設立時から現在までに発生した債権や債務を、整理する準備に入ったことを意味します。債権債務の整理などを経て清算という手続きを完了すると、いよいよ会社の存在自体が消滅します。

会社が解散する7つの原因とは

会社法では、会社が解散する原因が定められている?

会社法では、会社が解散する原因が以下の通りに定められています。

  1. 定款で定めた存続期間の満了
  2. 定款で定めた解散事由の発生
  3. 株主総会の決議
  4. 合併により会社が消滅する場合
  5. 破産手続開始の決定
  6. 裁判所による解散命令
  7. 休眠会社のみなし解散の制度

①②③の理由で解散した場合は、会社継続と呼ばれる方法をとり、清算が完了するまで会社の運営を継続することができます。一般的には、③の株主総会での決議による解散が最も多いケースです。

会社が解散しても清算手続きが行われない場合も?

会社が破産した場合と合併した場合、解散後に清算手続きは必要ありません。破産のケースは破産手続きによって、合併のケースでは合併される側の会社が解散と同時に消滅し、清算手続きは行われません。

清算手続きの意味をきちんと知っておこう

残った会社財産を換金処分するのが清算手続き

清算手続きは、解散した会社の債権債務を整理し、残っている会社財産を換金して処分する手続きです。清算には通常清算と特別清算の2種類があります。

まずは清算人と清算人会を設置

清算する会社は、清算業務を行うための清算人を置く必要があります。清算人には、通常、会社の取締役が任命されます。会社法では清算人は1名以上置く必要があると規定されていますが、監査役会のある株式会社では、3名以上の清算人と清算人会の設置が必要です。清算人会では代表清算人を選び、清算会社を代表します。清算人会を置かない場合には、全ての清算人が清算株式会社を代表します。

清算人の3つの義務とは?

清算人が職務を怠ると賠償責任も…

清算人には主に、現務の完了(完結)、債権の取立てと債務の弁済、 残余財産の分配、という3つの義務があります。清算人がもしこの義務を果たさず、会社に損害を与えてしまったときは、賠償の責任を負うと法律で規定されています。また、清算人は会社の解散と清算人就任登記、清算結了の登記の申請を行います。

解散から清算手続き完了までの流れは?

解散から清算手続き、会社の消滅までの流れを見ていきましょう。

図上の図の通り、一般的な株主総会の議決による解散の場合、解散の決定後に問題が起きなければ清算結了へと進み、会社は消滅します。しかし、清算手続き中に債務超過が判明した場合などは、特別清算か破産手続きへの移行となります。また、清算が終了していない場合、解散状態から会社の継続を選択することも可能です。

まずは株主総会での解散決議と清算人を選任

会社の解散手続きでは、まず株主総会で会社の解散決議を行いますが、同時に清算人の選任も行う場合がほとんどです。ここで選任された清算人は、解散決議のすぐ後に次の2つのことを実行する義務があります。

一つ目は、解散と清算人の登記申請、二つ目は、債権者に対する官報公告などです。官報公告では、官報に会社解散の旨を掲載することで会社の解散を公にします。

債権者に債務を弁済、余ったら株主にも分配されます

債権者に対する公告期間が過ぎると、解散会社は債権者に債務を返済します。もし債務をすべて弁済しても残る財産があれば、それは株主にも分配されます。この分配も済んで清算に関わる義務が完了すると、清算人は株主総会で決算報告の承認をとります。

決算報告が承認されると会社は消滅へ

この決算報告が株主総会で承認されると、清算手続きは完了し、会社はいよいよ消滅へ向います。清算人は株主総会で決算報告をした日から2週間以内に清算結了の登記を申請し、全ての任務が終わるのです。

スムーズに解散が行えない場合も…

特別清算に移ることもある

通常清算では、会社の解散が決まると前述のように、清算人により債権の取立て、債務の弁済、残余財産の分配が行われます。しかし、この過程で「清算の遂行に著しい支障をきたす場合」と「債務超過の疑いがある場合」は、特別清算に移ることが定められています。

会社を自ら解散すればすぐに清算に移れるかというと、必ずしもそうではないケースがあるのです。

特別清算は、清算手続きに入った会社が裁判所の監督を受けながら債権者集会を開き、債権者の多数決によって会社を清算する方法です。特別清算の開始後、債権者の同意が得られなかった場合や、特別清算によることが債権者の利益に反すると判断されたときは、裁判所は破産手続きの開始を決定しなければなりません。 

ルールに準じた適正な手続きが大切

解散をスムーズに行うためには専門家のサポートを

基本的には、大きな問題がなければ会社の解散はそれほど難しいものではありません。とはいえ、適正な手続きをきちんと押さえておかないと、ムダな時間や費用がかかってしまうケースもあります。できれば専門家である弁護士のサポートを受けながら、正しい清算手続きを行い、スムーズな会社の解散を実現しましょう

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