民事再生の申し立て時に必要な3つの費用

民事再生に必要な3つの費用

民事再生には大きな費用がかかることも

意外と見落としがちな民事再生の費用

民事再生の申し立て時には、

  1. 判所への予納金
  2. 弁護士や会計士への費用
  3. 当面の運転資金・リストラ費用

という3つの費用が必要になってきます。この費用を用意できないと、民事再生の申し立て自体が不可能となるので、とても重要です。

これらの3つの費用を合計すると、負債総額によっては大きな金額になることがあるため、事業者が民事再生を行うには相応の資金的余裕と準備が求められます。

民事再生に必要な3つの費用〜①裁判所への予納金

民事再生の申し立てを行う場合、負債総額に応じた予納金を裁判所に納めることが法律で定められています。事業者は、申し立てを行う地方裁判所へ予納金を納めなければなりません。納付は一括で、このお金は地方裁判所によって選任される保全処分•監督委員などの費用に充てられます。

負債総額が5千万円未満なら予納金は200万円が基準

たとえば東京地方裁判所で申し立てを行う場合、予納金の額は以下の表が基準となります。

負債総額 予納金基準額
5千万円未満 200万円
5千万円〜1億円未満 300万円
1億円〜5億円未満 400万円
5億円〜10億円未満 500万円
10億円〜50億円未満 600万円
50億円〜100億円未満 700万円
100億円〜250億円未満 900万円
250億円〜500億円未満 1000万円
500億円〜1000億円未満 1200万円
1000億円以上 1300万円

また、こうした予納金に加え、1万円の収入印紙と、3880円の郵券の納付も必要となります。

民事再生に必要な3つの費用〜②弁護士や会計士への費用

弁護士費用の基準は裁判所への予納額が目安に

裁判所事業者が民事再生を申し立てる際には、通常、着手金などの弁護士費用が必要です。一般的に着手金の額は、裁判所への予納金が一つの目安となります。たとえば、負債総額が小さく予納金も小額のケースでは着手金も比較的小額となり、負債総額が大きく予納金も大きいケースでは、着手金の額も大きくなります。

なお、申し立てが通って再生計画の認可決定を受けた際に、弁護士への成功報酬が必要になる場合もあります。こうした着手金や成功報酬には日弁連(日本弁護士連合会)が定めた一応の規定はあるものの、個々の弁護士や法律事務所によって異なるため、弁護士に依頼する際にはきちんと確認しておきましょう。

報酬基準が明確で信頼できる弁護士を選ぼう

もちろん、着手金や成功報酬が抑えられるからといって、実力のない弁護士に依頼しては元も子もありません。大切なのは、能力と経験、信頼性を第一に弁護士を選ぶこと。民事再生が成功して会社の経営が正常化すれば、要した分のコストは後で十分に回収が可能です。また、民事再生では債権認否、財産評定、そして再生計画案の立案の際に税務•会計上の処理が必要になるため、税理士や会計士への支払いが発生する場合もあります。

民事再生に必要な3つの費用〜③当面の運転資金・リストラ費用

民事再生を申し立てると、仕入れが現金支払いに?

現金民事再生では、会社の運営を続けることが大前提です。とはいえ、民事再生を申し立てると、通常、会社の仕入れ代金などは代引取引となるので、短期的には会社の資金繰りが厳しくなることがあります。

なぜなら、民事再生の過程では会社の経費は通常通りにかかるものの、仕入れ代金などが手形や振込など後日決済から現金支払いに変わるためです。毎月の社員への給与やオフィス・工場の賃料、設備のリース代金、光熱費などに加え、仕入れ代金も現金で用意しなければならないため、より多くのキャッシュフローが必要となります。このため、運転資金を2〜3ヶ月分は準備しておくことも必要です。

従業員をリストラする際には退職金の支払いも

さらに、民事再生の再生計画によっては、人員削減や資産の売却などのリストラを要することもあります。社員を解雇して人員を削減する場合、退職金の支払などの負担が一時的にふくらむことも。民事再生を申し立てる場合は、そうした費用についても頭に入れておく必要があります。

民事再生でも弁護士への相談はお早めに

ここまでに説明した通り、民事再生の申し立て時には相当額の資金が必要となります。民事再生は破産処理の一つですが、あくまでも会社の運営を続けながら、経営を再生するための手続きです。したがって、会社の資金的余裕が尽きる前になるべく早めの検討、そして専門家への相談がとても大切になるのです。

資金に余力がないと、破産の道しか残されていないことも…

もちろん、残念ながらすべてのケースで民事再生ができるわけではありません。債権者である銀行や取引先企業に再生計画が認められなかったり、あるいは裁判所に再生が不可能と判断されたり…といった場合、会社は残念ながら破産するしかありません。

債権者や裁判所に認可されるには、会社の再生に十分な資金的余力が残っていることが重要。事業を継続する余力が完全になくなってしまう前に、ぜひ弁護士などの専門家に相談して、民事再生を検討してみましょう。

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