パートタイム労働法による規制~知っていますか? 人材募集のルール~

パートタイム

短時間労働者の雇用にも規制がある

貴重な労働力となるパートタイマー

正社員を増やすことはできないけれど、パートならほしいと思うことは多いのではないでしょうか。短時間労働者(パートタイマー等)は必要な業務を必要な時間帯でこなしてくれる貴重な労働力で、多くの企業で採用されています。

パートタイマーには保護規制がある

パートタイム労働法では短時間労働者がフルタイムの通常労働者と比べて不公平に扱われることのないように定められています。

採用後は、そのままずっと短時間労働者として雇用していくわけではなく、通常の労働者である正社員へ転換できる試験制度などの設置も義務づけられています。こうしたことふまえて、短時間労働者を募集、採用しなければならないことを心得ておきましょう。

パートタイム労働法を知っていますか?

意外と知らない事業者に求められる措置

短時間労働者とは1週間の所定労働時間が同じ事業所内の通常の労働者に比べて短い労働者のことです。一般的にパートタイマーと呼ばれる人が中心ですが、アルバイトや契約社員、嘱託、臨時社員なども上記の短時間労働者の条件を満たせば、同様にパートタイム労働法の対象となります。

短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム労働法)があり、これにより、短時間労働者の雇用にあたっては事業主に次の3つの措置が求められています。

短時間労働者の雇用にあたっての措置

  1. 通常の労働者募集において、募集する事業所では業務内容や賃金、労働時間などの募集事項について、雇用している短時間労働者に周知する。
  2. 通常の労働者の配置を新しく行う場合、同じ事業所内の短時間労働者に対しても配置の希望を申し出る機会を与えること。
  3. 一定の資格を有する短時間労働者を対象に、通常労働者へ転換するための試験制度を設けること。その他、通常の労働者への転換を推進するための措置を講じること。

事業主が負わなければならない義務とは?

雇用側には正規雇用への道筋をつくる義務がある

前述の3つの措置を分かりやすくいえば、短時間労働者(パートタイマー等)を雇用している事業所では、新たに正社員等の人材募集する場合、雇用している短時間労働者にもその募集条件を公開することが義務化されているのです。

また、同じ事業所内で新たなポストを社内公募する際には、すでに雇っている短時間労働者にも募集内容を公平に知らせる義務があります。つまり、短時間労働者であっても、募集内容を見て正社員に応募できるチャンスがあり、その可能性につながるのです。

そして、事業主は雇用している短時間労働者がフルタイムの通常労働者へ転換する希望があれば、転換するための試験や制度などの道筋を作っておくことが義務化されているということです。

平成27年からは法律がさらに強化されている

法改正によってパートタイマーの権利が拡大

平成27年4月1日施行のパートタイム労働法改正によって、短時間労働者の保護義務が一層強化されています。以下に挙げる4項目は、経営者であれば特に注意しておきたいポイントです。

1)正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者の対象範囲

以前は、(1) 職務内容が正社員と同一、(2) 人材活用の仕組み(人事異動等の有無や範囲)が正社員と同一、(3) 無期労働契約を締結しているパートタイム労働者であることの3つの条件に当てはまるパートタイム労働者は、正社員と差別的取扱いが禁止されていました。
しかし、現在では(1)、(2) に該当すれば、有期労働契約を締結しているパートタイム労働者であっても正社員との差別的取扱いが禁止されています。

2)短時間労働者の待遇の原則

パートタイム労働者と正社員の待遇が違う場合、その待遇の相違は、職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならないという「広く全ての短時間労働者を対象とした待遇の原則の規定」が創設されました。正社員と同じ職務を担当しているのに、待遇がまったく違うということが禁止されているわけです。

3)パートタイム労働者を雇い入れたときの事業主による説明義務

事業主は、パートタイム労働者を雇い入れたときは、実施する雇用管理の改善措置の内容について、説明しなければなりません。

4)パートタイム労働者からの相談に対応するための事業主による体制整備の義務

事業主は、パートタイム労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備しなければなりません。

これら4つのポイントは、必ずしも正社員と短時間労働者の待遇を同じにしなければならないというわけではありません。とはいえ、事業者は正社員と短時間労働者の待遇について、合理的な判断をもって決定しなければならないのです。

法律をしっかり学んでパートタイマーを活用!

会社と労働者のどちらもメリットのある雇用を

こうした規制は雇用されている短時間労働者(パートタイマー等)が不公平な扱いをされず、資格やスキルがあれば通常の労働者(フルタイムの正社員等)へ転換できるように促すことを目的に設けられています。

パートタイマーの適正な雇用は、企業にとっても労働力を増やすことができたり、新たな人材を発掘したりすることにもつながります。うまく活用して、経営品質の向上を目指しましょう。

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