雇用機会均等法による規制~知っていますか?人材募集のルール~

面接 男女

直接差別と間接差別の両方に留意

人材雇用に関わる差別とは?

身長雇用機会均等法をはじめとする各種法令により、人材募集やその条件についてはさまざまな規定があります。男性のみ、女性のみと直接的に性による差別をするような基準を設定する募集や採用はもちろん、身長175㎝以上という一見して性別についての基準がなくても、どちらかの性が該当する割合が少ないことが明らかな条件などは間接的な差別とみなされます

これらの差別等を募集条件に盛り込まないよう、均等法で規定されています。

雇用機会均等法で違法となるケースとは

募集や採用で男女を直接的に差別する

雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(均等法)では、労働者の性別にかかわりなく、事業主は募集や採用の機会を与えるべきだと制定されています。そして、厚生労働省では事業主がこの点について適切に対処できるよう指針を定めています。

性別限定での募集は「差別禁止規定」で禁止されている?

たとえば、事務職で女性のみを募集したり、管理職において男性のみを募集したりするなど男女を限定した募集などがこれに該当します。こうした募集は直接差別といわれるもので、男女の差別とみなされ、均等法の差別禁止規定で禁止されています。

また、女性の雇用についてクローズアップされることが多いのですが、男女双方に対しての規定ですので男性に対しても差別とならないよう留意します。

厚生労働省の指針では、均等法に違反する募集、採用の具体例として次の5つが挙げられています。

均等法に違反する募集、採用の例

  1. 募集、採用にあたってその対象から男女のいずれかを排除すること。
  2. 募集、採用にあたっての条件を男女で異なるものとすること。
  3. 採用選考において能力および資質の有無等を判断する場合、その方法や基準について男女で異なる取扱いをすること。
  4. 募集、採用にあたって男女のいずれかを優先すること。
  5. 求人の内容の説明等で募集、採用に係る情報の提供について男女で異なる取扱いをすること。

なお、このような規定に違反すると罰則があり、厚生労働大臣または都道府県労働局長による助言、指導、勧告の対象となります。勧告に従わなかった場合はその旨を公表されるなどのペナルティもあります。企業としての損失も大きくなるので、規定は必ず守るようにしましょう。

意外と見落としがちな間接差別とは

身体的特徴などによる募集が間接差別となることも

均等法で気をつけたいことがもう一つあります。間接差別というもので、一見して中立的な立場で設けられた基準のようであっても、どちらかの性の人が該当することが割合的に著しく低いなど、どちらかの性にとって不利益な基準です。

実際の職務と関連性がある場合は認められますが、合理性や正当性が認められない場合に、これらの基準や条件で募集や採用をすることは均等法で禁止されているのです。

身体特徴で男性限定になるような募集条件はNG

怒る女性分かりやすい一例として「身長175㎝以上の人物」など一定の身長や体重、体力を要する条件がこれに該当します。一般的に女性がその条件を満たす割合が低いことから、男性を中心に募集しようとしているとして間接差別とみなされ、こうした条件で募集や採用をすることは禁止されているのです。

間接差別に関する3つの規制

間接差別は平成18年の均等法改正により規定が設けられています。事業主が「性別以外の事由を要件とするもののうち、措置の要件を満たす男性および女性の比率その他の事情を勘案して実質的に性別を理由とする差別となるおそれがある措置」を合理的な理由もなく示すことを禁じるものとされています。

具体的に禁止される措置は厚生労働省令により以下の3つが定められています。

  1. 労働者の募集、採用にあたって労働者の身長、体重または体力を要件とすること。
  2. コース別雇用管理における総合職の労働者の募集または採用にあたって転居を伴う全国転勤に応じることを要件とすること。
  3. 労働者の昇進にあたって転勤の経験を要件とすること。

身体的な基準のほかには転勤に応じることやその経験を有することとなっています。例えば、実際に地方支店などがないにもかかわらず、このような要件を総合職の募集や採用で基準として掲げることで、転勤や転居が厳しい人に対しては差別となりかねないとされるのです。

経営者が判断できない場合は専門家に相談

簡単なアドバイスで違反を未然に防げます

とはいえ、すべての職種が男女どちらでも構わないという状況ばかりではありません。事業主が業務の性質をはかり、業務の遂行上とくに必要である基準がある、または、事業の運営状況に照らして雇用管理上特に必要となる合理的な理由がある場合、それを立証できるのであればこの差別基準とはならないでしょう。

しかし、実際には立証できるような合理的理由を証明できるものは少なく、上記に該当する基準や条件の場合、その多くは間接差別として均等法に違反してしまうのです。違反となれば、前述の直接差別の規定違反と同様、厚生労働大臣等の助言、指導、勧告の対象となり、従わなかった場合はその旨を公表することとされています。

もちろん、企業法務を得意とする弁護士から簡単なアドバイスを受ければ、多くのケースでこうした違反は簡単に防ぐことができます。

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