経営者自身の知的財産をビジネスに活用する場合は?

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念願の会社設立、でもその前に…

自分が関わる知的財産を活かしたビジネスを始めるなら

現在勤めている企業から独立して、いつかは自分の会社を設立してみたい。そんな夢を持つ人も、もしかするとすでにその夢をかなえた人もいるのではないでしょうか? これまでに得た技術や知識を用いて、さらなる新しいアイディアや発明で産業の発展や社会に貢献、そしてもちろん自社の利益を上げる。そうした目標を持って起業することは、自分の力を最前線で直接発揮できる、やりがいのあるチャレンジとなることでしょう。

でもその前に。すでに経営者である人も、これから経営者の仲間入りをする人も、自分自身が関わった知的財産がある場合は、ぜひ一度その権利について見直してみてはいかがでしょうか。場合によっては、今後の経営を大きく左右する可能性もあります。

前職での「職務発明」なら複雑な権利関係の確認を

開発たとえば、あなたが以前に所属していた企業で、業務の必要に応じて発明をして特許を取得したことがある場合は、前職での従業員としての立場での職務発明である可能性に注意する必要があります。現時点での特許権の保有者が誰か、つまり誰が特許を利用する権利を持っているかという点が曖昧なままでは、「誰かの知的財産を勝手に使っていた」という権利侵害のトラブルにもつながりかねません。

とくに、特許法第35条の「相当の対価は企業と従業員の協議の状況などを踏まえて、就業規則などで不合理ではない基準を定めておけば、それを有効なものとされる」という規定の通り、対価を受け取ったうえで特許権を前職の企業側に譲渡している場合には、その対象となる発明をする過程で得た技術や知識を用いて新たな発明を行うことすら、特許法に抵触する可能性があります。つまり前職で得た情報は一切使えない可能性もあるので、十分な確認を行いましょう。

退職後に完成させた発明も契約によっては使えない?

競業禁止義務や秘密保持義務に注意!

一方で、以前の企業での在籍中に研究途中だった発明を、退職した後で完成させた場合は、前職での職務発明とは見なされません。ただし、「競業避止義務(対象者に対して不利益となるような競業=営業上の競争、を行なわない義務)」「秘密保持義務(=守秘義務。職務上知りえた秘密を守る義務)」の契約を交わしたうえで退職したのであれば、たとえ退職後に完成させた発明であっても、前職の企業から差し止めや損害賠償請求を受ける可能性があります

こうした義務契約は、在籍中は開発途中であったとしても、その職務を通してしか知ることができなかった機密情報やデータを利用して完成させた発明による、企業の秘密の漏洩を防ぐためのものです

たとえば、あなたの会社で開発中のデジタルカメラのメモリ部分を改良するために、新しい発明をしたとしましょう。ところが、その発明はあなたが以前の企業での職務中に得た実験結果を利用してのものでした。この場合、あなたは秘密を守る義務=秘密保持義務に違反しまったことになるので、前職から賠償請求を求められてしまう恐れがあるわけです。

共同研究による発明の場合は全員が発明者に

このように、以前の所属企業における業務内容に関連する発明については、前職との関係に注意が必要です。そうした発明に関わる特許を自社のビジネスに利用する場合は、「その知的財産権が現在はどのような状態にあるのか」「誰の保有する権利であるのか」「前職で交わした契約内容は」といった点について、きちんと整理・確認しておくことが大切です

また、上に紹介した以外のケースでも、発明を行うにあたり共同研究をした他者がいる場合には、その発明にかかわった全員が共同発明者となるため、特許の出願時にはその全員の承認が揃っている必要があります。共同発明者全員でなければ特許出願自体が不可となるため、その点にも注意しておきましょう。

どういった形での知的財産の活用が最適か、検討しましょう

経営者の特許がそのまま会社の特許とはならない

企業の経営者が同時に特許権を保持する発明者でもある場合、自ら経営する企業が特許を使用する際には、企業側が特許を譲り受けたうえで利用するという方法が一般的です。特許法においては、たとえ経営者が自社の開発のためにその活用を行うとしても、「経営者の特許=企業の特許」とは見なされません。そのため、企業が自由に権利を行使できなかったり、決裁に時間がかかってしまったりと活用がスムーズにいかない場面が出てくるため、こうした特許権の譲渡が行われるのです。

また、知的財産を利用したビジネスにおいては、会社の設立時に経営者が自社に対して知的財産権の現物出資(金銭以外の財産を出資すること)を行うといった方法もよく見られます。知的財産権の譲渡の方法については少し異なりますが、これも実質的には知的財産権の譲渡といえる方法です。

知的財産権を企業へ譲渡した方がいい理由とは?

もちろん、知的財産権の権利者を経営者個人としたまま、企業側がライセンスを受けて、その権利を貸与された状態で利用するという方法も可能性としてはあり得ます。とはいえ、対象となる知的財産権が企業における事業展開に対して重要度が高いものであるほど、会社にその権利がある状態の方がビジネス的な観点からは望ましいとされています。

たとえば、企業の事業戦略の一環として、知的財産権を第三者に譲渡したり、他社と共同で自社の保有する特許を使用したりすることがあります。また、複数の企業がそれぞれに保有する知的財産を交換する形で使用する、「相互ライセンス契約」を結ぶこともビジネス上よく見られるモデルです。

そのような知的財産を活かしたさまざまな事業展開を行う際に、企業がライセンスを受けているだけの状態では、権利の所在が分かりづらくなるうえ、権利者である経営者個人と他社が直接的な契約を結ぶ形になってしまうなど、企業としての経営の自由度が損なわれてしまいます。そうした契約の複雑化やビジネス上の不便を避けるためにも、やはり経営者から企業への知的財産権の譲渡は、早めに行っておく方がベターと考えることができるのです。

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